メスのウサギさんを飼っていると、ある日突然ケージの中に沢山の毛が抜けていたり、
毛をむしっているところを見たりして驚かれた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、この行為は発情期に見られる行動の1つである“偽妊娠”という状態です。
この“偽妊娠”とは何なのかどのようなことなのか、詳しくみていきましょう!

 

先ずはウサギさんの発情についてお話ししていきます。

*性成熟・発情について

性成熟とは、生まれてから生殖行動ができるようになるまでの期間で
ウサギの種類や性別によってもこの期間は違ってきます。

【メス】
小型種(ネザーランドドワーフなど)  生後4~5カ月
中型種(アメリカンファジーロップなど)生後4~8カ月
大型種(イングリッシュロップなど)  生後9~12カ月
【オス】
生後7~8カ月

飼っている環境によっても個体差があります。

ウサギさんは、繁殖力が高くて生後数カ月から発情が見られる動物です。
犬や猫など他の動物は、生後半年が経過したくらいからといわれているのでとても早いんです!
通年で繁殖ができる動物ではありますが、日の長さや温度に影響を受けて発情期があり、
気温の変化が穏やかな春で冬毛から夏毛に生え変わる頃というのが発情期のピークになってきます。

 

では、ウサギさんの発情行動とはどのようなものなのでしょうか?

*発情行動について

オス:個体差があり、全く行動しなかったり年中行動を繰り返す個体もいる
メス:1~2週間程度続く

性別 特徴 注意点
オス 性格の変化

・普段と比べて甘えてくる

・傍に寄り添ってくる

上記とは逆で、ケージなどの自分のテリトリー(お家など)では、威嚇して攻撃的になることも…。

威嚇が酷いときは、なるべく遠くから見守るようにしてテリトリー内であるケージの中には手を入れないようにしましょう。
マウンティング

本来であれば交尾のときにメスの上に乗って腰を振る行動ですが、発情期で興奮しているときには人の手足やぬいぐるみに対して同じ行動をとる。

エスカレートすることが多いです。噛みついてきたり、攻撃性が増すこともあるのでこの行動をしようとしたら止めさせましょう!

また、ぬいぐるみなど他の物に対して行っている場合もあまりしつこく続けているようなら、一度片付けて気をそらせましょう。

尿スプレー

自分のテリトリーであるとアピールするために行う。

尿を遠くに飛ばしたり、トイレ以外の場所でしたりします。

部屋やケージが汚れてしまうので掃除をして衛生面を考慮するのは大切ですが、この行動は自分のテリトリーを守ろうと自分のニオイを付ける行動です。

なので、掃除をしてしまうと自分のニオイが薄れてしまって不安になり、エスカレートしてしまうことも…。

サークルなどを用いて、お部屋の中の行動範囲を確保し、安心できる場所を作ってあげましょう!

メス 活動的になる

相手を受け入れるかで行動が変わってきます。

お尻を高く上げるような姿勢をとる、触られるのを嫌がって逃げたり、噛みついてくることも…。

過剰なスキンシップには注意しましょう!

発情しているメスは、偽妊娠を起こしてしまうことがあります。ですので、腰~お尻にかけては特に触ったり撫でたりする行為は控えましょう。

 

 

攻撃的になる

ホルモンバランスから苛立ちによって、噛んでこようとする。

排泄

オスと同様でトイレを失敗したり、尿を飛ばしてしまうことも…。

軟らかくて匂いのキツイ便をすることもあります。

自分のニオイを付ける本能による行動です。私たちが制限をかけて(注意)しまうとかえってエスカレートしてしまうことも…。

サークル等を用いてあらかじめ活動場所を確保してあげて、安心できる所を作ってあげましょう。

 

偽妊娠

発情期に様々な刺激によって、妊娠していないのにも関わらず、体が妊娠していると勘違いしてしまう状態。

ナーバスになっている可能性があり、些細なことでも偽妊娠の症状を誘発させてしまうことがあります。

そっと見守ってあげましょう。

どういったことが“偽妊娠”というのか、これから説明していきます。

*偽妊娠とは

本当は妊娠などしていないのに、まるで妊娠しているかのような状態になることを指します。
これに伴って様々な変化がでてきて、
・肉垂れや胸~お腹辺りの毛をむしる(抜く)
・むしった毛や牧草を咥えて、ケージの1カ所に集めて巣作りをする
・乳腺の張りがでてきて、実際に母乳が出る
・縄張り意識が強くなる
といった行動が約14~18日間続きます。

☆毛をむしる(抜く)ことで、普段よりも毛を飲み込むことが多くなります。
なので、被毛によって便が数珠のように繋がっていないか、
小さくなっていないかなど便の状態には注意してくださいね。

偽妊娠の事の発端となるのは、
・交尾をしたけど成功しなかった
・去勢しているオスとの交尾だった
・別のメスにマウンティングされた
など、交尾のような行為をすることが偽妊娠の引き金になってしまいます。

偽妊娠というのは、病気ではないので治療の必要がなく、自然に収まっていきます。
しかし、高齢になってくると乳腺の異形成(癌に進行する確率が高い状態)が見られることも…。

 

偽妊娠による行動は、1年に何回もする個体もいます。
あまりにも頻繁に繰り返すようであれば、避妊手術を検討してみてはいかがでしょうか。
手術を行うことで、ウサギさんに非常に多くみられる子宮系の病気も予防できますよ。
気になるようでしたら、一度かかりつけの病院で相談されてみてくださいね。