ハムスターはウサギと違い切歯(前歯)のみが伸び続ける動物です。
予期せぬ歯のトラブルを防ぐためにも日々のケアが重要になります。
まずはハムスターの歯の構造について見ていきましょう。
ハムスターの歯
ハムスターの歯は、
◇切歯(前歯)が上下2本ずつ
◇大臼歯(奥歯)が上下左右3本ずつ
合計16本生えています。
【歯の役割】
◇切歯→硬さのあるものをかみ砕き食べやすい大きさにする
◇大臼歯→切歯で砕いたものをすりつぶす
【歯の色】
◇切歯→エナメル質にミネラルが沈着しているため黄色
◇大臼歯→白色
切歯は生涯伸び続ける(常生歯)ためケアが必要です。
一方、大臼歯はウサギと異なり伸びません。
野生のハムスターは、種子などを食べやすい大きさにかじることで上下の切歯のバランスを保っています。
切歯の削れるスピードと伸び続けるスピードが同じなら問題はないのですが、
飼育下では様々な要因で歯の病気が起こります。
ハムスターの不正咬合
ここからはハムスターが特に気をつけたい不正咬合について見ていきましょう。
ハムスターの不正咬合は常生歯である切歯でしか起こりません。
不正咬合とは切歯が折れたり曲がったりして嚙み合わせが悪くなる事をいいます。
症状が悪化すると切歯が伸びすぎて口腔内に突き刺さることもあります。
【原因】
主な原因は金網ケージの金網を齧ることです。
金網を齧り続けると切歯が曲がったり折れたりして不正咬合が起こります。
また、高い所から落下するなど事故でも起こる可能性があります。
【症状】
不正咬合になると…
・口をうまく閉じられない
・よだれが出ている
・食べたいのに食べられない
等の症状がみられます。
症状が悪化してくると、伸びすぎた歯が歯茎を傷つけるので歯周病を発症したり、
ペレットが食べられなくなり栄養失調になることもあります。
【治療】
治療としては主に伸びすぎた切歯のカットを行います。
ほとんどの場合、定期的にカットする必要があり約3~4週間ごとが目安となります。
(個体差もありますので動物病院で相談してください)
食欲不振の時はまずその子の好物の食べ物を与えてみたり、
普段給餌しているペレットを粉末にして水を加えて柔らかい団子にしたもの、ハムスター用ピューレ、
加熱したかぼちゃ、皮をむいたヒマワリの種子、小鳥用の餌として販売されている
アワ・キビなど色々試してみてその子が食べてくれるものをみつけてあげて下さい。
【予防】
◆硬めのペレット、かじり木などハムスターがかじっても大丈夫なものを与える。
◆金網製のケージからプラスチック製のケージに変更する。
◆日頃からハムスターの歯の状態を観察する。
不正咬合をはじめとしたハムスターの歯の病気を予防するためには、
日頃から口腔内の状態を飼い主さんが把握しておくことが大切です。
しかしハムスターの口の中をじっくりと観察するのは難しいですよね…
小屋やかじり木をかじっている際に見える事もあるので確認してみてくださいね。
少しでも気になることがあれば早めに動物病院で相談してください。