発情の時期
インコたちには正常な生理現象として春と秋の年2回、発情期がやってきます。
しかしインコを飼っている環境や日照時間等の影響によっては、いつでも発情は起こる可能性があります。発情が年に3回以上と多くなってしまうと、インコたちが体調を崩す原因となってしまいますので、今回は発情について考えていきましょう♪
発情時に見られる行動 ~オスとメスの違い~
オス
・餌の吐き戻し
自分が食べた餌をメスに口移しで与える求愛行動です。
本来であればメスに対して行いますが、対象となるメスが居ない場合は飼い主さんや止まり木、鏡や鳥の形をしたオモチャ等をメスだと思い込み、行います。
自分が衰弱するまで吐き戻しをし続けてしまったり、吐き戻した餌を再び食べることでカンジダ症という病気にかかってしまうことがあります。
・お尻を擦りつける
尾羽を左右に振りながらお尻を擦りつけるという交尾にみられる行動です。
メスが居ない場合、放鳥時に飼い主さんの腕や手、止まり木やオモチャに対して行います。あまり擦りすぎてしまうとその部分の皮膚に炎症が起きることがあります。
・よく鳴く
メスにアピールするために行う求愛行動です。呼び鳴きとまではいかないくらいの大きさで鳴いたりします。
メス
・巣籠り、巣作り行動
放鳥時では衣服の間、給餌器の下やケージに敷いている紙の間に潜ったり敷いている紙をちぎって1カ所に集めることがあります。
・上半身を上向きに反らせ尾羽を上げる(シャチホコみたいな)ポーズ
オスを受け入れる際の交尾行動です。この時に背中の辺りを触ってしまうと誘発されてしまうので、極力触らないように注意しましょう。
・ろう膜(鼻の部分)が茶褐色になる ※セキセイインコ
ろう膜の色が茶褐色になり、表面がカサカサしてきます。
・翼に紙を差し込む ※ボタンインコ等のラブバード
ケージに敷いている紙や放鳥時に見つけた紙を細長くちぎって自分の翼に差し込む行動をすることがあります。
・その他
普段に比べて大きい便をしたり、下腹部がポテっとしてきたりします。
オス・メス共通
・多飲多尿になる
・攻撃性が増して指を噛んでくる
などがあります。
過剰に発情がきてしまうと…
発情を繰り返してしまうと、場合によってはこのような症状が現れることがあります。
オス
餌の吐き戻しによる衰弱
精巣腫瘍
毛引き
メス
カルシウムの欠乏(過剰な産卵によるもの)
腹部のヘルニア
卵詰まり(卵秘)
毛引き など
発情してしまう原因
*光周期
1日のうち日照時間(昼間の時間)が長いほど発情が強く現れ、6~8時間よりも長くなってしまうと発情の刺激となります。
対策:なるべく早めに寝かせるようにし、静かな場所で市販されているケージ用のおやすみカバーや暗幕などで、少しでも光が入り込まないように完全に遮光します。
*食事量
ご飯の量が十分にある状態だとそれだけで満足して発情する条件になってしまいます。
対策:ご飯の量を1日に必要な量だけに減らして与えるようにします。
食事制限を行う際には、かかりつけの動物病院でご相談の上、獣医師から適切な指導を受けるようにしてください。
*温度
気温が高いと繁殖がしやすい環境となってしまい、冬でも暖房が効いた部屋に置いていると季節感が無くなってしまって発情を助長させてしまいます。
対策:季節に応じて温度を下げるようにし、特に冬はあまり過保護になりすぎないようにしましょう。
*巣や巣の材料になる物があるか
巣箱を入れていたり、ケージに敷いている紙など巣の材料になりそうな物が存在しているだけで、時には発情の要因となってしまいます。
対策:巣箱やインコが巣だと思い込んでしまうような物(インコ用ハンモックなど)をケージに入れないようにする、ケージに敷いている紙を引っ張り出してしまわないようにします。
また、放鳥する時には服やカーテン、チェストの引き出しなどに潜らせないように注意しましょう。
*対象相手になる存在(ペア、飼い主さん、オモチャ)が居るか
オスとメスは、それぞれ対象の相手が近くに居て発情を示す行動を目にしたり耳にしたりすれば、目や耳から入ってきた情報だけで発情を促進してしまいます。
また、鳥の形をしたオモチャや鏡に映った自分の姿をパートナーだと思っている子や飼い主さんによく懐いていて飼い主さんをパートナーや仲間と思っている子は、一緒に生活しているだけでも発情を助長させてしまう可能性があります。
対策:ペアも一緒にケージで飼っている場合は、1羽ずつ別々のケージに暮らさせます。
もともと1羽で飼っていて飼い主さんに対して発情してしまっている場合、人が居ない場所にケージを移動させたり、なるべくスキンシップや話しかけすぎないようにしましょう。
オモチャに対しての場合は、鳥の模型が付いた物や鏡が付いている物をケージに入れないようにします。
発情の対策 ~飼育場のオカメインコ ピーコちゃんの場合~
つぶらな瞳が可愛らしいピーコちゃんですが、恋の季節が訪れていつしか卵を産むように…。
今後の健康維持のことを考えて、飼育場では以下のような対策を行っています。
*スキンシップに気をつける
朝夕の体重測定の際は、特に背中を触らないように注意し、ふれあいは最低限にしています。
*食事の管理
ご飯の量を1日に必要な量だけ与えるように食事量を変更しました。
インコたちはご飯の量が十分にあるとそれだけで満足してしまい発情する1つの条件に繋がってしまいます。
シード食を与えている場合は低脂肪用に切り替える、というのも1つの手ではあります。
※ご飯を食べすぎてしまうのは発情の原因のみならず、肥満になり他の臓器への負担にもなってしまいます。
*ケージの場所を変更
隣のケージにオスが居たこと、温かい場所だと発情の引き金になりやすいという2点を踏まえて、
換気口に近くてピーコちゃんの視界にオスが入らないスチールラックの下段に変更。
*早めに寝かせる
光周期による発情を抑える目的で、夕方は早めにケージの中を暗くしています。
ケージにカバーをかけて、少しでも光が入らないような工夫になります。
*その他
・ブランコや鏡が付いている玩具を入れない
・巣材になるようなものをケージ内の届くところに置かない など
インコちゃんに適した対策を。
ピーコちゃんにはこれらの対策方法で効果がありましたが、
個体差もありますので判断が難しい場合は
かかりつけの動物病院などで相談されてみてはいかがでしょうか。
皆さんの大切なインコちゃんに、少しでも長く健やかに過ごしてもらうためにも
その子に適した方法で発情を適度な頻度に抑えていくようにしましょう!