チンチラは元々の住環境から高温多湿が苦手で繊細です。
今回はそんなチンチラに多くみられる病気について一緒に見ていきましょう。

◇不正咬合
ウサギやモルモットにも多くみられる病気で、
切歯や臼歯が伸びてかみ合わせが悪くなった状態を言います。
涎が出ていたり、過度に伸びた歯が口の粘膜を傷つけ痛みから
食欲不振に陥り次第に体重が減少します。
治療としては過度に伸びた歯は病院で短くする必要があり、
場合によっては全身麻酔での処置が必要となります。
口内炎と併発している場合は消炎鎮痛剤や抗生剤を飲ませます。
予防としては普段から歯が伸びすぎないように牧草を十分に与えてください。
またケージの金網を齧る事によって歯の根元が曲がり変な伸び方をして不正咬合になる可能性もあるので
なるべく金網を齧らないように木製の柵などを設置して対処したほうが良いかもしれません。

◇うっ滞
主に毛づくろいの時飲み込んだ被毛が胃に溜まり餌などと絡み毛球が形成されて
胃の動きが悪くなり食欲不振に陥り、時には便の状態が軟便や下痢になります。
治療としてはレントゲン検査で確認し胃腸を動かす薬を飲ませます。
腹痛が見られる時には鎮痛剤も使用します。
投薬では効果がない場合外科手術が必要になることもあります。
予防としては繊維質が多いフードに変えたり牧草をたくさん与えることで
胃腸の機能を保つようにしてください。
また被毛が絡まないようしっかり砂浴びをさせたり、
ストレスで自分の被毛を噛む事があるのでストレスのない飼育環境に整えてあげましょう。
◇皮膚糸状菌症
皮膚にカビ(糸状菌)が感染し起こり、チンチラの皮膚の病気の中では多くみられます。
環境や食事それに伴ったストレスで免疫が低下して発病する事が多いようです。
人にも感染する病気なので注意が必要です。
眼の周りや鼻、口、耳、足の脱毛やフケが見られ進行すると炎症を伴い赤くなりますが痒みはほぼありません。
治療としては基本的に抗真菌剤を飲ませます。
治療と並行してケージなどの消毒も必ず行うようにして
砂浴びの砂を頻繫に交換し同居の感染が疑われるチンチラとの共有は避けましょう。
◇熱中症

自然環境下のチンチラは寒冷な高地に生息しているため暑さに弱い動物です。
28℃を超える室温になると熱中症を起こしやすくなり、湿気が高いとそれ以下の室温でも
なる可能性があります。
熱中症になると体全体が熱くなってよだれを垂らし呼吸が浅く速くなります。
時には舌が紫色になる「チアノーゼ」が見られ、便の状態が血便になることもあります。
症状が進行すると、多臓器不全に陥り腎臓や脳などに影響が出ます。
対処としてはまず気がついたら早急に涼しい部屋に移動させましょう。
状態が酷い場合は常温の水で身体を濡らして扇風機で風を送り
ゆっくり体温を下げるようにしてすぐに病院へ連れて行きましょう。
熱中症対策として飼育ケージは直射日光の当たらない場所に設置し
普段からエアコンを上手に活用して温度湿度を管理しましょう。
◇骨折
飛び回ったりするのが好きなチンチラはケージの金網などに足を挟んで骨折することがあります。
特に後ろ足のすねの骨の骨折が多く見られます。
足の向きに違和感があったり、足がきちんと使えていないときは骨折を疑いましょう。
骨折しても動き回ったりできるため折れた骨で皮膚を傷つける可能性があるので
すぐに病院へ連れて行きましょう。
治療としては外科手術を行いピンで固定しますが、
手術ができない場合はテーピングなどで対処します。
骨盤や背骨の骨折の場合、脊髄を損傷していると歩けず自分で排尿もできなくなります。
手術は困難で痛みを抑えるための消炎鎮痛剤を飲ませる事しかできず治りません。
こうならない為にも飼育環境をしっかり整えてあげましょう。


