ハムスターが口の中に餌や床材を詰め込んでいる姿を一度は目にしたことがあるかと思います。
ハムスターには口の中に頬袋という器官が存在します。
まずは頬袋の構造と役割について見ていきましょう。
頬袋の構造と役割
頬袋は左右に1つずつあり口の端から肩甲骨のあたりまでの大きさがあります。
伸縮性があり、容量は顔の大きさが2~3倍に見えるくらいたくさん詰め込むことができます。
ゴールデンハムスターは頬袋の内側に細かい毛が生えており詰め込んだ餌がくっつかないので
吐き出しやすくなっていますが、ドワーフハムスターは頬袋に毛が生えていないので
詰め込んだ餌がくっついて吐き出しにくいので”頬袋脱”という病気になりやすいです。
ハムスターは元々野生動物なので、大切な食糧を天敵から守り安全に巣へ持ち帰ることができるように
頬袋に餌を詰め込むのは本能的な行動です。
また野生化で泳ぐ場合には空気を溜め込んで浮き袋代わりにしたり、
雌のハムスターは危険が迫った時に赤ちゃんを入れて運ぶこともあるそうです。
現在ペットとして飼育されているハムスターに関しては
他のハムスターに取られないように確保するために頬袋に詰め込みます。
その際に餌に唾液が付着するので、自分の餌であるという証明になります。
しかし、とられまいと餌を吐き出さず数日間詰め込んだままの状態でいると餌が腐ってしまいます。
そうならないように頬袋に餌を溜め込んでいないか確認する必要があります。
もし溜め込んでいる場合は飼い主さんが排出の手助けをする方法もありますが、
安全を考えると動物病院に連れて行ったほうが良いでしょう。
*頬袋に餌を溜め込まないために
・好きな物は特にため込む可能性が高いので、餌はミックスフードよりも
ハムスター専用ペレットのみの方が腐敗などは防ぐことができる
・茹でた野菜などは小さくして少量ずつ与えるなど様子をみながら与え方を考える
・ケージの清掃をこまめにしてしまうと溜めている餌がなくなってしまい、
安心できる場所ではないと思いストレスとなってしまいます。
清潔にはしたのですが清掃はストレスを感じさせない程度に留めましょう
次にハムスターの頬袋の病気について見ていきましょう。
頬袋の病気
◆頬袋脱
頬袋が反転して口の外に出てしまう病気で、ジャンガリアンハムスターなど
ドワーフハムスターによく見られます。
原因はひまわりの種など尖ったものの出し入れで頬袋の粘膜を傷つけることや
細菌感染で炎症が起こったり腫瘍が考えられています。
症状としては頬袋が反転して口の外に出てしまい、
状況によっては自ら頬袋を噛んでしまうこともあります。
治療としては軽症であれば頬袋を口の中に戻して固定させますが、
再発する場合がほとんどなので切除手術が一番最善の方法です。
◆頬袋膿腫
頬袋が腫れて膿が溜まる病気。
原因は頬袋脱と同じく細菌感染による炎症や腫瘍と考えられています。
症状としては頬袋が膨らみ口から悪臭がします。
触ると食べものとは異なる感触があり目脂が出ることもあります。
治療としては抗生物質の投与や切開して膿を排出することが必要なので、
異変を感じたら早めに動物病院へ連れて行きましょう。
◆頬袋腫瘍
はっきりとした原因は不明ですが、1歳を過ぎたハムスターに多く見られることから
老化や遺伝などと考えられています。
症状としては食欲が減退し頬袋が腫れます。時として目脂や涙が出ることもあります。
完治するには摘出手術しかなく発見が遅ければ治療できない場合もありますので、
このような症状が見られたら速やかに病院へ連れて行きましょう。
このような病気にならないようにある程度の予防はできますが、
遺伝であったり老化であったり完璧に防ぐことはできません。
しかし気付いてあげられるのは飼い主さんしかいません。
毎日ふれあう際に確認したり、定期的にしっかり健康チェックをしてあげましょう。
おかしいと感じたらすぐに動物病院で診察してもらってくださいね。