前回は『小鳥たちの羽のしくみ』についてお話ししました。
今回は皆さんが一度は耳にしたことがあって、疑問に思ったことがあるかもしれない
『換羽と毛引き』についてそれぞれの違いに触れながら一緒に学んでいきましょう!
*換羽とは
定期的に古い羽が抜けて新しい羽へと生え変わることをいいます。
通常、全ての小鳥たちは年に2回春と秋(最低でも1回)換羽を行い、
基本的に換羽というのは発情の後に起こります。
羽が一度にごっそり抜ける子もいれば、体の一部のみ抜ける子もいます。
なので突然ケージの中に沢山の羽が落ちていたら換羽が始まったのかもしれません。
<換羽が行われる理由>
野生では、鳥類は弱い立場なので羽は生きていくうえでとても重要になります。
羽がダメになってしまったら飛べなくなって他の動物に襲われてしまうからです。
またお家で飼っている子が水浴び中に羽が水を弾いているところを見たことがあるかと思います。
換羽をすることでその撥水性を保つことができています。
<換羽中の注意点>
換羽中は新しい羽を作るために非常に体力を使います。
またストレスも溜まりやすくなりその結果免疫力の低下が起こり感染しやすくなったり、
様々な臓器への負担もあるので、普段は潜んでいた病気が発症することも…。
ですので、いつも以上に様子を見てあげることが大切になってきます。
・寒そうにしていないか
(膨羽していないか)
・食欲があるか
(小鳥たちは食べたふりをするので体重が減っていないか確認します)
・くしゃみをしていないか、鼻水が出ていないか
など、普段と変わったところがないか見ていくようにしましょう!
お家で飼育していて頻繁に換羽が起きている子は発情しすぎている可能性もあります。
発情は換羽だけでなく他の病気の原因にもなってきます。
詳しくは、『インコの発情について』をご覧ください。
*毛引きとは
自分の羽を引き抜いたり、咬みちぎってしまう自己損傷行為のことをいいます。
羽を引き抜く行為は、セキセイインコ・オカメインコ・ボタンインコなどのラブバードに多く見られ、クチバシが届く範囲が対象になります。
一般的には、胸やお腹・脚・尾などですが、中には頭部を残して全ての羽を抜いてしまうこともあります。
<原因>
毛引きの原因は、➀生理的なもの、➁精神的なもの、➂炎症などが考えられます。
➀生理的なもの
汚れた羽や折れた羽を抜く毛づくろいの一環やメスが卵を温める為に
お腹の羽を抜く発情行為が該当します。
これらは一時的なことであるため次第に落ち着いてきますが、
稀に行為がエスカレートして病的な毛引きへの引き金になることもあります。
➁精神的なもの
環境や性格、遺伝などによって毛引きを引き起こしやすい子が、
ふとしたきっかけで発症することが多いです。
しかし、その殆どがはっきりとした原因を特定することが困難とされています。
特にお家で飼われている小鳥たちは親鳥ではなく人から挿し餌で育てられた子たちが多いので
野生化と比べるとコミュニケーション能力に劣ったり、社会性に未発達なところ、分離不安
などの依存症は毛引きを起こしやすいとされています。
誘発される引き金としては、イライラしたり思い通りにならないことへの
八つ当たり、暇つぶし、寂しさ、羽を抜くことへの快感など様々です。
また日光不足や栄養不足、飼育環境のストレスもきっかけになることも…。
➂炎症
皮膚や羽、神経、内臓の病気によって痛みや痒み、違和感があることで毛引きを引き起こします。
この場合これらの治療をすることで改善されるケースもあります。
毛引きは複雑且つ様々な因子が絡み合って発症することが多く、
➀~➂が必ずしも該当するとは限りません。
またなかには毛引きがエスカレートし皮膚まで傷つけて出血させてしまうことがあるので
こうならないためにも防ぐ必要があります。
いかがでしたか?
お家で飼っている小鳥さんが、もし…
・いつもの換羽とは違うかも
・必要以上に羽を抜いている気がする
など、普段の様子と違う気がしたら一度かかりつけの病院で相談されてみてくださいね。