モルモットの乳腺疾患で代表的な「乳腺炎」と「乳腺腫瘍」。
今回はこの2つの病気について詳しくみていきましょう。
乳腺疾患とは
モルモットの乳房の下部に腫れ物ができる病気の総称です。
硬いしこりがあれば乳腺疾患の可能性があります。
時折熱を持ち、つまむと痛がることもあります。
◆乳腺炎
乳腺に細菌が感染して起こる病気です。
【原因】
乳腺組織への細菌の感染によるものと乳腺腫瘍に伴う炎症と考えられています。
【症状】
乳腺にしこりが見られ、腫れて赤くなり触れると痛がるようになります。
乳腺から血膿が出ることもあります。症状が進行すると食欲が減退し体重が落ちてきます。
乳腺腫瘍と併発している場合もあるので、おかしいと思ったら必ず動物病院へ連れて行くようにしましょう。
その上で適切な診断・治療を行います。
【治療】
乳腺の汚れを取り除き、抗生物質を投薬します。
【予防】
生活環境を整えることです。
モルモットはお腹をすって動き回るので乳頭が地面に触れやすくなります。
そのためにも日々の掃除をこまめに行い、床を清潔に保ちましょう。
◇モルモットと抗生物質◇
モルモットは抗生物質の投薬にとても慎重にならなくてはいけません。
抗生物質の種類によっては最悪死亡する事もあるそうです。
~飼育場で飼っていたモルモットさんの場合~
体重測定の時に、右側の乳頭から出血していることに気づき触って確認してみるとしこりを発見。
それを指でつまむと乳頭から膿のような物が滲み出てきたので、すぐに動物病院で診察してもらい『乳腺炎』と診断されました。
この子の場合『抗生物質』が合わず投薬できなかったので定期的な確認だけで過ごすことになってしまいました。
この時比較的安全だといわれる抗生物質を処方していただきましたが、投薬開始後から元気がなくなり食欲不振となりすぐに病院で他に原因がないか調べていただいたのですが、特に問題がなく抗生物質の影響ではとの事ですぐに投薬をやめました。
すると元気になり食欲も戻りすぐに対応できて本当に良かったです。
モルモットにも使えるといわれている抗生物質だとしても個体差があり合わない子もいるという事をしっかり理解して、必ず先生の指示に従って投薬をし投薬中はモルモットさんの様子をしっかりみてあげて下さいね。
◆乳腺腫瘍
乳腺に発生する腫瘍で、悪性腫瘍と良性腫瘍の両方が存在します。
他の動物種と違いオスにもよく見られる病気です。
悪性であっても転移は珍しいので早期に発見し外科手術ができれば長生きできる病気です。
【原因】
完全には判明していませんが、遺伝的要因が一つに挙げられます。
また、バランスの偏った食事やストレスなども原因だと考えられています。
【症状】
片側あるいは両側の乳腺付近に硬いしこりや腫れ物ができます。
腫瘍が小さい間は目立った症状は見られません。
次第にしこりが大きく成長すると痛みが出てきて腫れ物が潰れて出血し、膿が出てくるようになります。
そうなると元気がなくなり、食欲が減退し体重が落ちてきます。
症状が進行すると潰瘍になる場合もあるので、早期発見が大切です。
【治療】
外科手術で腫瘍を摘出するのが一般的です。
その後病理検査をして悪性か良性かが分かります。
化学療法については負担が大きく効果がない場合も多いようです。
【予防】
原因がはっきりしていないので予防は難しいのですが、バランスの良い食事を心がけ清潔でストレスの少ない飼育環境を整え日頃からモルモットさんの体をよく触り定期的にチェックをして早期発見できるようにしましょう。
繰り返しになりますが、できるだけ長く健康に過ごしてもらうために日頃から生活環境を整えて触れ合う時間を大切にし少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診してください。
早期発見、早期治療が肝心です!