かわいい「うちの子」には、おいしいものをたくさん食べて喜んでほしい♪
そんな飼い主さんの愛情が、残念ながらウサギの肥満につながってしまうこと、結構あるようです。
「ちょっとぽっちゃりぐらいがかわいい」という見方もあるでしょう。でも、それがもし、ウサギのためにならないとしたら?
太りすぎは健康上の問題につながります。具体的にどんなことが起こるのでしょうか?
肥満のリスク
■病気のリスクが増える
体が重くなることでソアホック(足裏の炎症)を起こしやすくなったり、運動量の低下から尿路結石のリスクが増えたりします。また、体の熱を発散しにくくなって、熱中症の危険も増します。
参考:『ウサギの病気・症状』
■毛づくろいをしにくい
体の動かしにくさから毛づくろいをしにくくなり、皮膚炎につながることもあります。
■盲腸便が食べられない
ウサギは、盲腸便からビタミン類やたん白質など多くの栄養を摂っています。食糞の体勢を取りにくくなり、盲腸便が食べられなくなると、栄養面での影響が大きくなります。
参考:『ウサギの便をチェックしよう』
■手術時の危険
外科手術の際に皮下脂肪が邪魔になったり、麻酔の効果に影響が出たりすることがあります。
肥満かどうかを確認しよう
まずは現状把握から始めましょう!
●体重の量り方
体重にもよりますが、キッチンスケールや人間用の体重計等で量ることができます。数字が読みやすいデジタルのものがおすすめです。
体重計の上に乗ってじっとしてくれる子だと助かるのですが、そうでない子も多いと思いますので、ケースに入れたり抱っこして量る方法がオススメです。
【例】
・ケースやダンボールに入れて量る→ケース等の重さをマイナスする
・キャリーバッグに入れて量る→キャリーバッグの重さをマイナスする
・飼い主さんが抱っこして量る→飼い主さんの体重をマイナスする
定期的に体重を量ることで、「また増えてる……」「急に減ってる?どこか悪いのかな?」と気づくことができます。
体重は、健康管理のための重要なポイントです!
ダイエットをしていなくても、こまめに量って記録していきましょう。
合わせて食事量や飲水量も記録しておくとより良いでしょう。
●体形をチェックする
品種ごとの平均体重はひとつの目安にはなりますが、たとえば骨格自体が大きい子は、平均体重より重くても「その子にとって最適」なこともあります。(参考:『ウサギの基本』)
体重以外にも、判断基準となるポイントがいくつかあります。
■背中や脇腹を少し強めに撫でたとき、背骨や肋骨の凹凸を感じる?
全く感じないようなら、皮下脂肪がつきすぎているのかも。(逆にゴツゴツしすぎていると痩せすぎかもしれません)
■顎の下や腹部が大きくたるんではいない?
メスの場合は普通、顎の下のマフマフ(肉垂)が大きくなりますが、肥満の場合はより大きくなります。
■毛づくろい、食糞ができている?
毛がボサボサになってきた、盲腸便がよく落ちている……となると、毛づくろいや食糞の体勢が取りにくくなって、きちんとできていないのかもしれません。
適正な体重・体形かどうか判断が難しいときは、病院で診てもらってもいいでしょう。
ダイエットを始めよう
痩せるために重要なこと。これはどの動物でも同じで、「摂取カロリー<消費カロリー」とすることが基本です。
つまり、「摂取カロリーを減らす(食事管理)」「消費カロリーを増やす(運動する)」となります。
多くのウサギは室内飼育で、運動量を増やすことに限りがありますので、食事管理がより重要になってきます。
●食事管理
「摂取カロリーを減らす」=「食べる量を減らす」と考えがちですが、ウサギの体は、消化管を動かし続けていないと体調が悪くなってしまいます。
「食べさせない」よりも、主に「食べるものを変える」ことが大切です。
- 高繊維質・低カロリーのイネ科の牧草を多く与え、いつでも食べられるようにしておく
- 牧草をメインとし、ペレットの量を減らす
- ペレットを低カロリーのものに変える
- 高カロリー、糖分の多いおやつはやめる(もしくは野菜等に置き換える)
【注意】
「早く痩せさせたい」と急に食事量を減らしたり食事内容を変えたりすると、ウサギのストレスになり、体調不良につながる場合があります。
本格的なダイエットは、獣医さんと相談しながら徐々に進めていきましょう。
●運動管理
ケージから出して遊んであげる時間を増やしたり、ケージ内で動けるように広いケージに変えるのも良いでしょう。
一度太ってしまうと、痩せるのはとても大変です。飼い主さんも心苦しく、忍耐力も必要になるでしょう。
ウサギの為にも、まず太りすぎないような食事管理、生活管理を心がけましょう!