ウサギが元気でご飯をよく食べてくれているときは、病気のことをあまり深く考えることは少ないかもしれませんね。
けれど、病気について「前もって知っておく」ことは、とても大切なことです。
予防として食事や生活環境を把握しておけば、急に症状が出たときに、どうすれば良いのかを判断しやすくなります。
 
ウサギがかかりやすい病気やよく見られる症状にはどんなものがあるか、見ていきましょう!

●うっ滞(食滞とも)

消化管の運動が悪くなり、消化管の内容物が流れずに止まってしまうことを言います。
繊維質が少ない等の体に合わない食事が要因になる他、ストレスや他の病気の影響によっても起こります。消化管の不調は、ウサギにとって命にかかわる状況です。便が小さく・少なくなったり、急に食べなくなったりしたら要注意です。
投薬やマッサージ、強制給餌、食事の変更など、病気の状態に合わせた治療を行います。
参考:『ウサギの消化』 『ウサギの便をチェックしよう』

●毛球症

うっ滞等が原因で、毛づくろいの際に飲み込んだ毛等が排出されずに胃の中に溜まり、かたまりになったものを毛球と言います。投薬や輸液、マッサージで少しずつかたまりを排出させる治療を行いますが、排出できない大きな毛球は外科手術で摘出します。
参考:『グルテンフリーとは』

●尿路結石

ウサギは尿からカルシウム成分を多く排出します。カルシウムをはじめとしたミネラルの過剰摂取や、水分不足・運動不足が原因で、膀胱や腎臓などに石ができたものを尿路結石といいます。血尿が見られたり、痛みから食欲不振になることもあり、尿が出なくなると尿毒症を起こして命にかかわる場合もあります。
投薬や食事の変更で対処できる場合もありますが、大きな結石を取り除くには外科手術が必要になります。
参考:『ウサギの尿をチェックしよう』

●不正咬合

ウサギの歯は、繊維質をすりつぶす役割から、生涯伸び続ける特徴があります。
通常は上下の歯がこすり合わされることですり減っていきますが、歯のかみ合わせが悪くなり、正常にすり減らすことができずに異常に伸びすぎてしまった状態を不正咬合と言います。食事の内容が影響したり、外傷で歯が折れてしまった場合にも起こります。
奥歯(臼歯)の伸びすぎは外見からはわかりづらいですが、涙が流れる等の症状が出ることがあります。
伸びすぎた歯は、病院で削ったり切断したりします。繰り返し起こることが多いので、定期的に歯の状態を確認しましょう。

●スナッフル

鼻炎によって見られる鼻水やくしゃみなどの症状を総称して「スナッフル」といいます(病気の名前ではありません)。パスツレラ菌の感染などが主な原因となります。
鼻の周りが汚れ、それを前足でこするので前足にも汚れが見られます。ひどくなると、透明だった鼻水が白っぽい膿のような状態になっていきます。
抗生物質の投与などで治療を行います。

●ソアホック(飛節びらん)

後ろ足の裏が脱毛して炎症を起こした状態のことで、ひどくなると潰瘍になります。ウサギの足の裏には肉球がなく、毛でおおわれているだけなので、硬い床や肥満の影響で足の裏に過剰な負担がかかると起こりやすくなります。
金網のような足裏への刺激が強い床は不向きです。すのこに牧草を敷く等、やわらかい床材がおすすめです。
排泄物で不衛生な状態だと感染をおこしやすくなるので、清潔・乾燥を保ちましょう。

●コクシジウム症

コクシジウムとは寄生虫の一種で、これが寄生し、発症することにより下痢や食欲不振が起こります。
健康なウサギであれば保菌していても発症しない場合が多いのですが、仔ウサギでは症状が出やすく、下痢が長引くと命にかかわることもあります。
感染している動物の糞が主な感染源です。抗生物質による治療等を行います。

●斜頸・眼振・ローリング

平衡感覚等をつかさどる「前庭器官」の疾患がもとで見られる神経症状です。パスツレラ菌やエンセファリトゾーン(寄生虫)が原因となることが多いようです。
【斜頸】首が斜めに傾く
【眼振】眼球が上下や左右に動き続ける
【ローリング】倒れてゴロゴロと転がる
症状が見られたら、できる限りすぐに治療を受けることが重要です。状況によって、完治することもありますが、症状が残ることもあります。

●子宮疾患(子宮腺がん、子宮蓄膿症など)

ウサギのメスは子宮疾患にかかりやすく、3~4歳以上のメスの多くが罹患するといわれています。陰部からの出血が見られることが多く、血尿のように見える場合もあります。
体調や年齢に合わせた治療を行いますが、根本的な治療方法は、卵巣・子宮を摘出する避妊手術です。

●骨折

ウサギの骨は軽くできていてかなりもろく、骨折しやすくなっています。少し高いところから落ちた、暴れるウサギを強く押さえすぎた、カーペットに爪をひっかけてしまい暴れた、等の理由で骨折することもあります。
ウサギに危険がないような環境づくり、扱い方を心がけましょう。

●熱中症

ウサギは暑さと湿度に弱い動物です。30度を超えるような日本の夏の高温多湿には、体が耐えられません。
湿度が上がる梅雨時期頃から、エアコンで空調管理をしてあげるのがおすすめです。
耳が赤く・熱くなっていないか、ぐったりしていないか等、様子を見ながら温度・湿度を調整してください。

【肥満は万病のもと】
肥満自体を「病気」とするかは難しいところですが、「太っていることによりかかりやすくなる病気」はたくさんあります。たとえば上に記載したものの中でも、尿路結石、ソアホック、熱中症……他には、毛づくろいしにくくなることで皮膚炎にかかりやすくなることも。
肛門に口を付ける姿勢が取れず、食糞しにくくなってしまって栄養面での影響が出ることもあります。
ウサギも人間もそうですが、一度太ってしまうと痩せるのはなかなか大変なものです。
普段の食事管理に気を付けるとともに、体重・体形が気になってきたら、早めのダイエットを心がけましょう!