便と同じくらい、体調変化の合図になるのが尿です。
人間、犬や猫、同じ哺乳類でも種によってそれぞれ尿の状態は違いますが、ウサギの尿にも他とは違う特徴があります。
健康管理の為には、どんなポイントを見ればいいのでしょうか?
毎日のお掃除のとき、ウサギと遊んでいるときや日々の生活の中で、しっかりチェックしていきましょう!

ウサギの尿

ウサギの尿は基本的に黄色~オレンジ系で白っぽく濁っており、pH7.6~8.8程のアルカリ性です。
濁っているのは、尿中に炭酸カルシウムが多く含まれているからです。体内で不要になったカルシウムの尿中排泄率は、人間など他の哺乳類では2%以下ですが、ウサギでは45~60%程度にもなります。
尿を遠心分離器にかけると写真のように分離し、カルシウム成分が尿中にどれぐらい含まれているのかがわかります。

●尿の色の変化
ウサギの尿の場合、黄色やオレンジ、褐色などが通常見られますが、ちょっとびっくりしてしまうほど真っ赤になるケースもあります。
ひとつは「血尿」。病気等により尿中に血液が含まれるもので、これは要注意です。
もうひとつは「色が赤いだけの健康な尿」です。ニンジン等赤いものを食べてβ-カロテンが排泄されたときや、「ポルフィリン」という色素成分が排泄されたとき等に赤くなります。
ポルフィリンが含まれる尿を「ポルフィリン尿」と言います。何が原因で出るのかは個体差が大きく、食べるものや代謝の違いによって変わるようですが、正確なところはわかっていないようです。

健康な赤い尿か血尿かは見た目でわからないことも多いので、病院で診てもらうのが確実です。
赤さの原因が「色素」なのか「血液」なのかを調べてくれます。

【トイレ掃除のコツ】
ウサギの尿は健康な状態でもカルシウムが多いので、トイレ掃除がたいへん!
尿汚れがトイレに残って、なかなか落ちなくなってしまうことがあります。
汚れの主成分である炭酸カルシウム(アルカリ性)を溶かすためには、クエン酸(酸性)がおすすめです。家庭でのお掃除にもよく使われていて、100均ショップやドラッグストア等にも売っています。
水100ccにクエン酸を小さじ1杯程度混ぜて溶かします。この溶液を汚れ部分にスプレーし、時間をおいてティッシュで拭きとるか、汚れがひどい場合は溶液にしばらくつけておきます。そのあと、クエン酸の成分が残らないように水ですすいでください。金属の網などについたままになると、サビの原因になります。
(クエン酸溶液の代わりにお酢を使っても大丈夫ですが、匂いが残ってしまうかもしれません)
あまりたくさん汚れがついてしまうと落とすのが大変なので、こまめにお掃除してあげましょう♪
※クエン酸は酸性のため、塩素系洗剤との同時使用は厳禁です!

こんな尿は要注意!

●血尿
膀胱炎や尿路結石、腎炎が原因かもしれません。
また、避妊をしていないメスの場合は子宮疾患の可能性もあります。

●大人ウサギの透明な尿
仔ウサギの時は大人のウサギに比べて尿が酸性寄りなので、炭酸カルシウムが溶解し、透明な尿になります(これは正常です)。
大人のウサギで濁らない透明な尿をしているときは要注意。食欲不振や絶食で尿のpHが酸性寄りになると、透明の尿が出ることがあります。

●どろっと濁っている
ある程度白っぽく濁っているのは正常ですが、白くてどろっとしてくると、尿中のカルシウム量が増えすぎているのかもしれません。(飲水量が少なくて尿が濃くなっている可能性もあります)
状態が悪化すると、尿路結石につながることもあります。

尿路結石について

食事から摂るカルシウム量が多くなりすぎると、尿中に排泄されるカルシウム量も増えます。さらに飲水量が少ない・あまり動かない等の要因が重なると、結晶化したカルシウムが泥状になって膀胱内に溜まったり、尿路結石ができたりすることがあります。
尿路結石ができると痛みをともない、ウサギの食欲・元気はなくなります。
また、泥状の結晶や尿路結石が尿道に詰まってしまうと尿が出なくなり、とても危険な状態になります。(1~2日で命にかかわります!)
治療方法は状態によって異なりますが、大きな尿路結石を取り除くには手術が必要です。
ひどくなる前にウサギの様子に気づいてあげること、対処することが大切です。

【チェックポイント】
・血尿が出ていないか?
・尿をするときに痛そうにしていないか?力んでいたり、姿勢がおかしくなっていないか?
・尿の回数が極端に減っていないか?もしくは頻尿になっていないか?
・尿がどろっとしていないか?

【対処法】
気になる点があれば、まずは病院へ!
そのうえで、先生の指導もふまえて、食事や生活の見直しをしましょう。

●食事のカルシウムを調整する
カルシウムは骨や歯等の形成には重要ですが、摂りすぎは問題です。
アルファルファなど、マメ科の牧草は高カルシウムです。イネ科の牧草に切り替えましょう。ペレットもアルファルファではなくチモシーが主原料で、なるべくカルシウムが低いものがおすすめです。
野菜・野草を与えるときも、カルシウムが多い種類のものは控えたほうが良いでしょう。

●水をしっかり飲ませる
尿が薄まり、尿量が増えることで結晶を排泄しやすくなります。

●肥満対策
太っていると動くことが少なくなり、膀胱内の尿が一定状態に溜まって結晶化しやすくなるなど、尿路結石ができやすくなる傾向があります。体重管理や運動量を増やすことが大切です。
 
 
この【対処法】は、尿路結石ができていないときの「予防」にもなります。
ウサギが健康なときにこそ、一度、いつもの食事や生活を振り返ってみてはいかがでしょうか?