ハムスターの病気の要因は様々です。
どれだけ気をつけても防げないものももちろんありますが、飼育環境や食事等が原因の場合、「知っていれば予防・対策ができる」こともあります。
ハムスターがかかりやすい病気やよく見られる症状にはどんなものがあるか、見ていきましょう!

●不正咬合

ハムスターの前歯は伸び続けます。通常は適度な硬さのものをかじることですり減っていきますが、上下の歯のかみ合わせが悪くなると、ズレたまま伸びてしまい食事ができなくなります。
口が閉まらなくなったり、よだれが出ていたりするようなら歯のチェックをしてみてください。
やわらかいものばかり食べていると歯が削れにくくなります。また、金属のケージをかじる癖がある子は、歯が根元から曲がりやすくなり特に注意が必要です。かじらせない工夫をしましょう。
伸びすぎた歯は病院で削る・切る等の処置が必要です。

●ウェットテイル(増殖性回腸炎)

ウェットテイルとは「濡れた尻尾」という意味で、尻尾・肛門周辺が常に濡れた状態になってしまうような水様性の下痢を言います。細菌や寄生虫の他に、ストレスも原因となります。
幼いハムスターに多く、脱水状態から致命的になってしまうことが多いようです。できるだけ早く病院で治療を受けましょう。
また、便等からの感染の可能性があるため、多頭飼育をしている場合は隔離・ケージ等の消毒が重要です。

●腫瘍

ハムスターは、高齢になるにつれ腫瘍が見られることが多い動物です。
腫瘍には良性・悪性があり、できた場所によっても、切除や投薬等治療方法が変わってきます。
腫瘍が大きくなると治療が難しくなるので、気づいたら早めに病院で診てもらいましょう。

●頬袋脱

頬袋が外に出てしまっている状態をいいます。頬袋に入れた中身の出し入れを繰り返したり、中に入れたものが頬袋とくっついてしまって、外に出したときに一緒に反転して出てきてしまうことが多いようです。また、食べたものが口腔内を傷つけ、炎症を起こして出てきてしまうこともあります。
溶けたりべたべたしたりする食べ物・大きすぎる食べ物・ビスケット等水分の少ないものはくっつきやすいので要注意です。
出てしまった頬袋は、すぐに自然に戻れば問題ありませんが、長時間外に出たままになっていると壊死してしまうこともあります。病院で処置してもらいましょう。

●腸閉塞

腸に何かが詰まってしまい、便が出なくなる状態をいいます。
異物を食べたり、タオル等をかじって繊維を飲み込んでしまったり、長毛種の場合は毛づくろいで飲み込んだ毛がうまく排泄されず詰まってしまうこともあります。トイレ砂を食べてしまい、詰まることもあります。(固まらない砂も詰まることがあります)
病院での処置としては、下剤で出すか手術で取り出すこととなります。
その後は、詰まってしまったものがまた口に入ることがないよう、飼育環境等の見直しを行いましょう。
長毛種の場合は、ブラッシングや繊維質が多めの食事もおすすめです。

【怪我にも注意!】
床材として綿やタオル等を敷いている場合は、見直しが必要かもしれません。
床材を舐めたりかじったりした結果腸閉塞につながってしまうことも考えられますし、表面がループになっているタオルには足を引っかけてしまうかもしれません。綿が足にからまって締まり、はずれなくなると、最悪壊死してしまうことも。ケージの床材は、ハムスターの安全を第一に考えて選びましょう。
また、高すぎる場所から飛び降りて骨折、ケージやおもちゃの隙間に足を引っかけて骨折……ということにならないように、巣箱やおもちゃの大きさ・配置にも気をつけてあげましょう。

●疑似冬眠・低体温症

ハムスターは、室温が5℃程度になると体温が下がり呼吸数も減って、動かなくなります。これを「冬眠」とみられる場合がありますが、実際は「低体温症」という状態です。体温が下がりすぎて活動できなくなってしまっているのです。
体が冷たく固まって死後硬直の状態にも似ており、そのまま放っておくと死んでしまいます。
もし低体温症になってしまったら、毛布や人間の手等で包んでゆっくり温め続けてください。ドライヤーやストーブで急激に温めると、心臓への負担が大きく、死んでしまう場合があります。
目を覚ますまでに、長ければ数時間程かかることもあるようです。その後は、なるべく早く病院で診てもらいましょう。
飼育下では、何よりもまずこの「冬眠(疑似冬眠)」状態にさせないことが第一です。エアコンやパネルヒーター等で保温してあげましょう。昼夜の温度差が大きくなりすぎないようにすることも大切です。

●熱中症

ハムスターにとって快適な温度は20~26℃程度と言われています。日本のほとんどの場所で真夏の暑さはこれを軽く超えてしまうため、温度管理を怠るとハムスターは熱中症になってしまい、命にかかわります。
ぐったりしている・呼吸が荒くなっている等、熱中症の症状が見られたら、ビニール袋に入れた濡れタオル等を当て、ゆっくり体を冷やします(氷では急激に冷えすぎてしまいます)。飲めるようなら水分を取らせます。こういった応急処置をしつつ、病院に連れていってあげましょう。
熱中症予防として、まず、直射日光が当たるような場所は必ず避けましょう。エアコンでの室温調整の他に、保冷剤にタオルを巻いてケージの上または下に置いたり、ハムスターが寝そべってひんやりできるような、大理石の板や陶器のハウス等を入れてあげても良いでしょう。風通しを良くしておくことも大切です。(ただしエアコンや扇風機の風が直接当たらないように注意してください)
また、温度を下げていても湿度が高いと体温調整が難しくなります。40~60%程度が適切です。
ハムスターのケージの外側には温湿度計を設置し、快適な環境になっているか、常にチェックしてあげましょう。