ハムスターたちのそもそもの出身地をご存じでしょうか?
ゴールデンハムスターの生息地はシリア等の中東地域、ジャンガリアンやロボロフスキーはロシアやカザフスタン等に生息しています。
それぞれ暑い地域、寒い地域……というイメージがあるかもしれませんが、野生下のハムスターたちは、地下の巣穴の中で多くの時間を過ごしています。地下は地上に比べて温度が一定に保たれて過ごしやすくなっており、つまりハムスターたちは、過酷な暑さ・寒さに対応できる体の作りになっていません。
高温多湿の日本の夏をハムスターに快適に過ごしてもらうためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか?

過ごしやすい温度・湿度

ハムスターにとって快適な温度は20~26℃程度と言われています。
日本のほとんどの場所で真夏の暑さはこれを軽く超えてしまうため、温度管理を怠るとハムスターは熱中症になってしまい、命にかかわります。
また、温度を下げていても湿度が高いと体温調整が難しくなります。40~60%程度が適切です。

●温湿度計をケージのそばに設置しましょう!
暑さや湿度は体感では判断しにくいものです。温湿度計を設置して、環境調整のひとつの基準にしましょう。
同じ室内でも空気の流れ方やエアコンの向き等によって温度に差が出ることがあるので、温湿度計はハムスターのケージのそばに設置しておくと良いでしょう。

環境を整えよう

基本的には、エアコンで室温自体を調整することがベストです。
ケージの設置場所も一度見直してみましょう。直射日光が当たるところはもちろん、窓の近くで温度が上がるような場所も避けたほうが良いでしょう。エアコンの風が直接ケージに当たらないかどうかもチェックしてください。
ガラスケースやアクリルケース等、風が通りにくいタイプのケージを使っている場合は、温度管理に一層注意が必要です。

ケージ内に「冷えている場所」を作りたいときは、下記のようなものが活用できます。

●大理石プレート、アルミプレート、陶器製のハウス
ハムスターが寝そべったり中に入ったりしてひんやりできます。
ハムスターによって好みがわかれますので、色々試して居心地の良さそうなものを探してあげてくださいね。

●保冷剤
タオルを巻いてケージの上または下に置きます。冷気は下に降りるのでケージの上に置くと冷えやすいですが、冷えすぎて寒くなってしまったり、結露して水滴が落ちたりすることがあります。気温が高いと短時間で効果がなくなってしまうため、こまめな管理が必要です。
※ハムスターが直接保冷剤に触れることがないようにしましょう。体を冷やしすぎても良くないですし、かじると危険です。
※ケージの全面を冷やさないようにしましょう。ハムスターが「冷えている場所」「冷えていない場所」を自分で選んで移動できるようにしておきます。

【扇風機は涼しくならない】
人間の夏にはなじみ深い扇風機ですが、ほとんどの動物たちには「涼しさ」を与えるものではありません。
人間が風を涼しく感じるのは、皮膚の汗が風にあたって気化するときに皮膚の熱を奪っていくからです。被毛に覆われているハムスターは皮膚に汗腺がなく、風を当てても暑さが和らぐことはありません。かえってストレスになってしまうのです。
室内の空気を循環させるために扇風機やサーキュレーターを使うのは問題ありませんが、ケージに風が当たらないように配慮しましょう。

食事の注意

気温・湿度が高くなると、食べ物が傷んだりカビが生えたりしやすくなります。生野菜等は特に、長時間置いておかずに残ったものは取り除きましょう。ハムスターが小屋の中に運んでしまったものも、こまめに取り除くようにしましょう。
水も傷みやすくなるので、1日2回程度変えてあげると安心です。
水は冷やさないで常温で与えてください。「冷たい水を飲むと涼しくなるかも?」と感じるかもしれませんが、体の小さいハムスターでは体が冷えすぎ、下痢等を起こす可能性があります。

また、夏バテ気味で食欲が落ちる、というのは人間と同じでハムスターにも起こります。
きちんとごはんを食べているかどうかも見てあげてくださいね。