お迎えしたばかりの仔ウサギ、元気いっぱいな大人ウサギ、寝ている時間が増えた高齢ウサギ。健康に過ごしてもらうためのお世話や食事は、もちろんその子その子で違いますが、年齢によっても大きく変わってきます。
ウサギの成長過程や体の変化はどんなものでしょうか?
今回は『飼いウサギ(アナウサギ)』について、基本的な成長の流れを見ていきましょう♪

●離乳期まで(~8週齢頃)

うまれたばかりの赤ちゃんウサギは毛が生えておらず、母ウサギの毛等でつくった巣の中で体温を保ちます。母ウサギの母乳ですくすくと育ち、1週齢頃には産毛が生えそろって、2週齢頃には目も開きます。
4週齢頃から少しずつ普通の食べ物に興味を持ち始め、5~6週齢頃から離乳が始まります。離乳食は特に必要なく、大人ウサギと同じものを食べます。食べ始めた時期にはまだ消化機能は成長中で、完全な離乳は8週齢(2ヶ月弱)頃になります。
1ヶ月齢程のちいさなウサギがペットショップにいることもありますが、まだ消化器官が成長途中で、特にお世話に注意が必要な時期です。お迎えの際には、そういった点にも注意してください。

●成長期(8週齢頃~7ヶ月頃)

どんどん成長していく時期です。体を作るためのたん白質や骨を作るためのカルシウム等、栄養がたくさん必要です。成長期用の高栄養ペレットと、たん白質やカルシウムが豊富なアルファルファ牧草がおすすめです。
仔ウサギの時期にどんなものを食べたかということは、今後の食生活に大きくかかわってきます。3~4ヶ月齢頃から、いろいろな種類の野菜や野草等を少しずつあげてみましょう。「これは食べられる」と覚えてもらうことで、食事の幅が広がります。消化器官の成長には個体差がありますので、食べ慣れないもので便がゆるくなってしまわないか、しっかり見てあげてください。
成長に合わせて自我がしっかりしてきて、マウンティング等も見られるようになります。

【男の子?女の子?】
性成熟前の仔ウサギはオス・メスの見分けがつきにくく、オスだと聞いて迎えたら実はメスだった…!なんてことも時折あるようです。
性成熟するとオスは精巣が下りてきて、生殖器の見分けがつきやすくなります。また、メスは顎の下の肉垂(いわゆるマフマフ)が見られるようになります。(遺伝要素や食事内容等で、肉垂が大きく出ない場合もあるようです)
なお、メスは4~6ヵ月頃、オスは5~7ヶ月頃に性成熟します。ウサギは1年中繁殖が可能で、赤ちゃんを一度に6~8羽程産みます。オス・メスを飼育していて、繁殖をさせる予定がないのであれば、一緒にしないよう十分注意しましょう。

●維持期(7ヶ月頃~5歳頃)

心も体もしっかり成長して、よく食べよく遊ぶ、充実した時期です。
成長期ほどたくさんの栄養は必要ないので、仔ウサギ用の食事を続けると太ってしまうかも。ペレットは大人ウサギ用のものに、牧草はチモシー等イネ科のものに変更していきましょう。

●高齢期(5歳頃~)

中年~高齢期にさしかかってきます。人間と同じで、老化によって徐々に体の状態に変化が出てきます。
たとえば小さな段差が登りにくくなったり、高い位置の給水器から水を飲みにくくなったり。段差をゆるやかな坂にする、床置きの水入れに変える等、様子を見て環境を整えてあげてください。ただ、大きく変えすぎても落ち着かなくなるのでほどほどに。
新しいものを受け入れにくくなってくるので、食事を変えるときにも注意が必要です。若い時以上に、「少しずつ変える」ことを心がけてあげましょう。

ウサギの平均寿命は8歳程といわれますが、昔に比べると長生きの子が増え、10歳を超える子も多くなってきています。
そういった意味では人間同様、高齢期などの対象年齢を見直す時期が来ているのかもしれませんね。

【日本のウサギ】
今回はペットとしてなじみの深い『アナウサギ』にスポットを当てましたが、『二ホンノウサギ』についても少し触れたいと思います。
このウサギは日本各地の山や野原で見ることが出来ます。アナウサギよりも耳が大きく、筋肉質な体つきをしています。
出産の際には、草地のくぼんだ部分等に赤ちゃんを産みます。赤ちゃんウサギは産まれた時から毛が生えており、1週間もすると自分で植物を食べ始めるなど、同じウサギといっても『アナウサギ』とは大きく異なります。
これは出産場所が比較的安全な穴の中なのか、危険を伴う場所なのかといったシチュエーションにそれぞれ適応していった結果といわれています。