「ウサギは自分のうんちを食べる」
ウサギの飼い主さんには常識で、ウサギをよく知らない人にはびっくりされること第1位ではないでしょうか?
多くの動物と同じように、いえそれ以上に、ウサギにとって便は健康のバロメーターです。胃腸の調子が良くないと、便の状態が変わってきます。体調不良を隠してしまうウサギからの、静かなSOSとも言えます。
便を毎日チェックして、健康の変化に気づいてあげられるようにしましょう。
硬便と盲腸便
ウサギの便には2種類あります。丸いコロコロの「硬便」と、ブドウの房のような形にくっついた「盲腸便」(盲腸糞とも言います)です。
「硬便」は、いらないものを排泄する役割の一般的な「便」です。消化できなかった粗い繊維のかたまりで、あまりくさい臭いはしません。
硬便を割って見てみましょう。粗い繊維と細かい繊維の割合がどうなっているか、飲み込んだ毛が混じっているかどうかによって、ウサギの食べているもの・消化の状態が見えてきます。
繊維質をたくさん摂っているウサギの便は大きめになりますが、便の大きさには体の大きさも関係してくるので、どれぐらいの大きさであれば良いという基準は特にありません。また、ペレットを変えると便の大きさや色も変わります。
「盲腸便」は、植物からしっかり栄養を摂るためのウサギの消化のしくみの一部です。盲腸にいる微生物たちが繊維質を分解し、栄養として吸収できるように盲腸内で発酵させて、これをもとに盲腸便が作られます。
ウサギは、肛門に直接口を付けて、盲腸便を噛まずに飲み込みます。これが「ウサギは自分のうんちを食べる」、ウサギの食糞です。盲腸便に含まれる栄養素は、再度消化管を通って吸収されます。
(なお、ウサギは盲腸便だけでなく硬便も食べることがありますが、繊維質の塊なので特に害はありません)
盲腸便についてもっと詳しく見る>『ウサギの消化』
こんな便は要注意!
●いつもより小さい・形がいびつ・量が少ない
●毛でつながっている
胃腸のはたらきが悪くなって、消化能力が落ちている可能性があります。
毛でつながっている便は、「数珠便」と呼ばれることもあります。
【考えられる原因】
・毛づくろいが多くなり、飲み込む毛の量が増えている
・食事中の繊維量が少ない
・異物を食べてしまった(カーペットやペットシーツ等)
・ストレス過多
・水分不足
・運動不足 等々……
換毛期は特に抜け毛が増え、飲み込む毛の量が増える傾向があります。
うまく排泄されずに胃の中に溜まった毛が食べたものと絡まってしまうと、「毛球」になってしまうことがあります。ひどくなると命にかかわることもあるので要注意です!
こういった便が見られ始めたら、悪化しないように、食事や生活環境を見直していきましょう。
【予防と対策】
・牧草など、繊維質の多い食事を増やす
・毛球に配慮したペレットやサプリメントを試してみる
・ブラッシングを増やす
・適度に運動させる(ストレス解消、胃腸の動きを活発に)
対策しても改善せず長く続くようなら、病院で診察を受けたほうが安心です。
「食欲が落ちている」「うずくまってあまり動かない」状況なら、すぐにでも病院へ!
体調異常が疑われる便
・下痢(水状、泥状等)
・血便(黒いタール状便や、赤い鮮血の付着)
・軟便(やわらかい便)
・粘液便(盲腸便ではないもので、ゼラチン状の粘液が付着)
【どんな原因?】
・うっ滞や消化不良
・寄生虫・細菌性の病気
・ストレス過多
・消化管に腫瘍ができている 等々……
便の状態だけで原因を特定することは難しい上、ウサギの場合、下痢等は命にかかわることがあります。すぐにでも病院で診察を受けることをおすすめします。(その際、できる限り便を病院へ持っていきましょう)
「軟便かなと思ったら盲腸便だった」ということも時折あるようですが、どちらか判断がつかない場合は、病院で診てもらったほうが安心です。
下痢になるのも便が出なくなるのも、ウサギにとっては大変なことです。
ウサギは不調を隠す動物なので、じっとうずくまって動かなくなったり、全くご飯を食べなくなったりと、「具合の悪さ」が見えたときにはかなり悪くなっていることが多いのです。
「いつもと違う」に気を付けるとともに、普段から、胃腸の調子を整える繊維質の多い食事を心がけましょう。