「ウサギの感染症【前編】」では、ウサギによく見られる感染症について見ていきました。
さて、人間の感染症には「手洗い」「マスク」「ソーシャルディスタンス」等なじみ深くなった感染対策がありますが、ウサギの感染症ではどうでしょうか?
今回は感染症の「予防」について見ていきましょう。
感染症の予防
①感染源に接触しない
人間の感染症と同じで、何よりもまず「感染源に接触しない」ことを考える必要があります。
各感染症の「主な感染源」は「ウサギの感染症【前編】」にある通りですが、これに加えて「感染源に接触した昆虫や動物、人間等が細菌やウイルス等を運んでしまう」ことがあります。飼い主さんが「感染」していなくても、細菌やウイルス等がくっついてきてしまうのです。(付着した細菌等の生存期間は種類によって異なります)
そのため、「ウサギを感染源に接触させない」ことに加え、「飼い主さんが細菌・ウイルス等を運ばない」ことが大切になります。
【予防策】
- 飼い主さんの手洗いの徹底。(水で細菌・ウイルス等を洗い流すのは効果があります)
- うさんぽ等、ウサギを外に連れて行くのは控える。
- 自宅のウサギ以外のウサギとの接触を控える。(ペットショップ、動物展示施設、ふれあいコーナーのウサギや野生のウサギ等)
- 外で摘んできた野草を与えるのは控える。もしくはしっかり水洗いをする。
- 複数飼育の場合、食事や水を入れる食器等は1羽にひとつ用意し、共有しない。
②生活環境を整える
感染症の中には、「感染していても症状が出ない(不顕性感染)」ものもあります。これは体調によって状況が変化する場合があり、健康な時は平気だけれど、ストレスや体調不良等で免疫力が低下すると症状が出てしまう……ということがあります。
ウサギにとってストレスフリーな環境というのは、季節や年齢によっても変わります。今の「うちのこ」に適した環境になっているかどうか、一度見直してみるのも良いかもしれませんね。
- 適切な生活スペースを確保できている?(狭いスペースでの生活はストレスがかかります)
- 温度、湿度は適切?(ウサギは特に高温多湿が苦手です)
- 掃除はこまめに行っている?(不衛生な環境は体調不良につながります)
- 騒音等、ストレスのもとになるものがない?
- 特に高齢ウサギの場合、毎日の生活で不便そうにしているところはない?
「汚れた箇所の清掃」や「汚れた部分の床材の取り替え」はこまめに行っている飼い主さんも多いと思いますが、時にはケージの丸洗いや消毒、床材の全取り替えも行いましょう。意外なところに汚れが溜まっていたり、床材が思いのほか湿気を含んでいたり……ということに気付けるかもしれません。
感染してしまったら…
動物病院での受診、治療が基本となります。
目に見える症状が治まっても、細菌やウイルス等がまだ残っている場合があります。投薬や塗り薬を使う期間は獣医師の指示にしっかり従い、自己判断で止めないようにしましょう。
また、ケージ内に病原体が残っていると、せっかく治療しても再度感染してしまうことがあります。ケージの丸洗いや消毒、床材の全取り替え等を行いましょう。
複数飼育の場合は、感染したウサギが完治するまで他のウサギから隔離しておきましょう。順番にお世話をする際には、飼い主さんが病原体を運んでしまわないよう、感染したウサギのお世話は最後にします。その後の手洗いや消毒はもちろん、服を着替える等の対策を取るとより安全です。
感染症予防を考える時、「感染源を近づけない」ことに加え、「体力をつけて健康を維持する」「ストレスを減らし免疫を維持する」ことが大切なのはウサギも人間も同じです。
今は外出が難しくなっていて、「うちのこ」とのお出かけや外部のウサギとの接触は減っている方が多いと思います。
家での時間が増えた分、飼育環境の見直し等も含めて、「うちのこ」との時間をゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか?