モルモットが元気に毎日を過ごすためには、歯の健康維持が大切です。歯の状態が悪いと、食餌を摂ることすら出来なくなることがあります。
歯の健康を維持するためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか?
今回はモルモットの歯について見ていきましょう!

モルモットの歯の特徴

モルモットの歯は上下合わせて切歯(前歯)が4本、臼歯(奥歯)が16本あり全部で20本あります。
モルモットの歯の生え方は特徴的で上顎の臼歯が外側に向かって生えており、下顎の臼歯は内側に傾斜したように生えています。
また、モルモットはウサギと同じようにすべての歯が常生歯なので生涯にわたって歯が伸び続けます。そのため、牧草などの高繊維質な食餌を咀嚼することで歯をすり減らし、一定の長さを維持しています。
この歯のすり減りを「咬耗」と言います。
モルモットの歯の健康を維持するためには、咬耗と伸長のバランスを保つことが重要です。

モルモットの歯の病気 ~不正咬合~

モルモットの歯の病気として多く見られるのが、不正咬合です。
不正咬合とは切歯や臼歯が過剰に伸びてしまい、噛み合わせが悪くなってしまった状態を言います。
過剰に伸びた歯が舌や頬などの口内を傷つけてしまい、痛みから食欲が低下したりよだれが出たりします。

原因

不正咬合の原因の一つとして食事があります。
野菜や果物などの繊維質が少なく柔らかい食餌では歯の咬耗が充分に行われないため、歯が過剰に伸びたり変形したりします。
また、ケージをかじる癖のあるモルモットは金属などの硬いものを噛み続けることで切歯が異常な噛み合わせになってしまうことがあります。

モルモットが不正咬合になると以下のような症状が見られることがあります。

【こんな症状に注意】

・よだれが出る
・歯ぎしりをする
・食欲が低下する又は無くなる
・体重が減少する
・顔が腫れている

臼歯の不正咬合は飼い主さんから見えづらいため、気づきにくいです。
上記のような症状がある場合は動物病院を受診するようにしましょう。

治療方法

不正咬合の治療方法は、過剰に伸びた歯を削ったりカットすることで適切な長さにします。
処置の最中にモルモットが嫌がり、ひどく暴れてしまう場合があります。処置の最中に暴れてしまうと口の中を傷つけるなど事故に繋がる可能性もあるので、場合によっては全身麻酔をかけることがあります。
不正咬合の治療のための処置はモルモット自身に大きな負担がかかってしまいます。

予防法

モルモットの不正咬合は一度なってしまうと治療をしても何度も再発することが多いと言われているため、予防が大切です。
不正咬合を予防するためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか?

牧草はいつでも食べられるようにする

モルモットの食餌は牧草をいつでも食べられるようにしておきましょう。
硬い乾燥牧草を咀嚼する際のすり潰すような歯の動きがモルモットの歯を摩耗します。
牧草は様々な種類がありますが、イネ科の牧草であるチモシーの一番刈りがおすすめです。繊維質が豊富なうえに硬さもあるので、咀嚼することによってモルモットの歯を摩耗します。
また、マメ科の牧草であるアルファルファと比較して低カロリーでカルシウムの含有量も少ないため、モルモットの体型維持や泌尿器の健康のためにはチモシーの方が良いでしょう。

ケージをかじるのを防ぐ

ケージにある金属の格子などの硬いものを噛む癖のあるモルモットは、特に切歯の不正咬合に注意が必要です。
ケージをかじる理由としては飼い主さんへのアピールやストレスが考えられます。
ケージをかじるのを防ぐ方法の一つとしてかじり木や牧草マットの設置があります。牧草マットとは牧草を編んで作られたマットのことでこれらを設置することでケージからかじり木や牧草マットへ気を逸らしてくれる場合があります。
どうしてもケージをかじるのをやめてくれない場合は、板や木製の柵などでケージをかじることが出来ないように塞ぐ方法もあります。
また、ケージの種類の中にはモルモットの口が届く高さの範囲がプラスチックになっており、金属部分をかじれないようにしているものもあります。

【1番刈り、2番刈り、3番刈り?】

チモシー牧草は1番刈り、2番刈り、3番刈りと分かれて販売していることがよくあります。皆さんはこの〇番刈りの違いをご存知でしょうか?
チモシー牧草は種をまいて、一定の草丈まで成長すると茎を一部残した状態で刈り取ります。この時収穫したものを1番刈りと言います。
1番刈りのチモシーは春~初夏にかけて収穫され、繊維質が豊富で硬さもあるのが特長です。
2番刈りは1番刈りで刈り残した茎から成長した物を収穫した牧草です。
3番刈りも同じように2番刈りで刈り残した茎から収穫した牧草を言います。
2番刈りや3番刈りは、1番刈りと比較して茎が細く柔らかくなっており嗜好性が高いですが、一方で繊維質の含有量が低いという点もあります。
牧草は〇番刈りという違い以外にも、産地やその年の天候などにより含まれる栄養素の量や嗜好性が変わることがあります。

いかがでしたか?
歯はモルモットが食餌をとるうえで重要な器官です。
1週間に1回などの定期的なチェックは歯の健康維持において大切です。また、臼歯の異常であれば外から見ただけでは分かりづらいので毎日の食欲や元気があるかなどの普段の行動をよく観察するようにしましょう!