モルモットやウサギ等の草食小動物の食事といえば、キャベツやニンジン等の野菜をイメージする方が多いでしょうか。
おいしくもりもり食べてくれるといくらでもあげたくなってしまいますが、「モルモットが好きなもの・喜ぶもの」が「モルモットの体に良いもの」だとは限りません。
モルモットの健康のために、どのような食事を選んであげると良いのでしょうか?

モルモットの食性

モルモットは完全草食動物です。原種と言われるテンジクネズミは、野生下では植物の葉や茎、根、樹皮等を食べています。
盲腸が発達しており、その内部では腸内細菌叢が繊維質の消化、発酵を行っています。不適切な食事やストレス等で腸内細菌叢のはたらきが悪くなってしまうと、消化不良につながってしまいます。
モルモットにとっての「不適切な食事」は、繊維質が少ないもの、たん白質や脂肪・炭水化物が多すぎるもの等です。

そして、他の草食小動物と違って、モルモットにとってとても重要な食事のポイントがあります。
それが「ビタミンCの摂取」です。

ビタミンCの重要性

モルモットは、体内でビタミンCを作ることができません。作れないからといって「いらない」というわけではなく、むしろ「必須ビタミン」であるため、食事からビタミンCを摂る必要があります。
ビタミンCが不足すると、食欲不振や毛並みの悪化、歯肉からの出血等、様々な不調が起こります。

ビタミンには「脂溶性」「水溶性」という種類があり、ビタミンCは「水溶性ビタミン」です。
水溶性ビタミンは名前の通り水に溶けるビタミンで、たくさん摂りすぎた(体が今必要としていない)分は、尿と一緒に排泄されます。一度にまとめて摂取してもいらない分が捨てられてしまうので、「継続的に摂取し続ける」ことが大切なのです。
つまり、毎日食べるものからビタミンCを摂取するのがベストです。
モルモット用のペレットには、基本的にビタミンCが配合されています。必要に応じてビタミンCが多く含まれる野菜を与えたり、サプリメントを追加したりしても良いでしょう。
体調が悪い時や妊娠中・授乳中は、健康な時よりも多くのビタミンCが必要になります。

ちなみにこれは、体内でビタミンCを作れない「人間」にも共通して言えることになります。
皆さんは毎日しっかりビタミンCを摂っていますか?

飼育下での食事

モルモットの健康を考えた食事として、ビタミンCをはじめとした微量成分もバランス良く摂れる「ドライフード(ペレット)」と、繊維質の豊富な「牧草」をメインに与えるのがおすすめです。

●ペレット

様々な原料を配合して作られたペレットは、栄養バランスが良いのが特長です。
モルモット用のペレットには様々なものがありますが、「ビタミンCがしっかり入っているかどうか」の他に、「牧草原料が使用されているか」「繊維質(粗繊維)の量」等をポイントに選ぶと良いでしょう。

同じ草食動物用でも、例えばウサギ用のペレットにはビタミンCが配合されていないことがあります。ウサギは体内でビタミンCを作ることができるので、食事に入れる必要がないのです。配合されていたとしてもモルモットに必要な量が入っているとは限らないので、モルモットにはモルモット用のペレットを与えるのが安心です。
【参考記事】「ペレットQ&A」

●牧草

牧草に多く含まれる繊維質は腸のぜん動運動を促します。腸の健康維持が体の健康維持の要になるとも言える草食小動物にとっては、繊維質をしっかり摂ることが健康への近道にもなります。
また、硬い乾燥牧草を食べる時の「すりつぶす」歯の動きは、モルモットの伸び続ける歯を摩耗させるために重要です。
牧草はいつでも食べられるよう、切らさずに入れておくと良いでしょう。

おすすめの牧草には、イネ科のチモシーやマメ科のアルファルファ等があります。
チモシーは低カロリーで高繊維質。体ができあがった大人のモルモットにはこちらがおすすめです。
アルファルファはたん白質・カルシウムが豊富で高栄養です。成長期や高栄養が必要なモルモットにはおすすめですが、尿の健康維持が気になる子には、カルシウムの多いアルファルファは向きません。
【参考記事】「草食小動物の飼い主さんに聞いてみました!」(牧草についてアンケートを取ってみました♪)

 
「後編」では、野菜等の副食について見ていきます♪