モルモットが元気な時こそ病気について知っておく、というのは大切です。
「いつもと違うかも?」が見られたときに気付きやすくなったり、飼育環境や食事を整えておくことで病気の予防につながることもあります。
モルモットがかかりやすい病気やよく見られる症状にはどんなものがあるか、見ていきましょう!

●ビタミンC欠乏症

モルモットは体内でビタミンCを作ることができないため、食事から摂る必要があります。
ビタミンCが不足すると、食欲不振や毛並みの悪化、歯肉からの出血等、様々な不調が起こります。
ビタミンCは一度にまとめて摂取しても、体が今必要としていない分は尿と一緒に排泄されます。毎日ビタミンCを摂取することが重要です。
ビタミンCが配合されたペレットやビタミンCの多い野菜、必要に応じてサプリメント等を与えると良いでしょう。
■参考:モルモットの食事【前編】 【後編】

●うっ滞

消化管の運動が悪くなり、消化管の内容物が流れずに止まってしまうことを言います。
繊維質が少ない等の体に合わない食事が要因になる他、過度な毛づくろいや布等の誤食、ストレスや他の病気の影響によっても起こります。症状が重くなると命にかかわることもあります。
普段から繊維質の多い食事を与えることや、ストレスがかからないような飼育環境への配慮が大切です。長毛種では、こまめにブラッシングをしてあげましょう。

●不正咬合

上下の歯が噛み合わなくなり伸びすぎてしまう状態を言います。切歯(前歯)、臼歯(奥歯)とも不正咬合になることがあります。
うまく食事ができなくなり、硬いものを食べたがらない、食欲が落ちる、よだれが出る等の症状が見られます。
噛み合わせが悪いまま歯が伸び続けるので、病院で定期的に切ってもらう必要があります。
先天的な不正咬合を持つ子もいますが、食生活や飼育環境が影響することも多いです。歯をすり減らすため牧草をしっかり食べてもらうこと、ケージをかじる癖がある子にはかじらないような対策を取ること等が大切です。
また、ビタミンCの不足が不正咬合の要因となることもあります。ビタミンCはコラーゲンの合成に影響し、コラーゲンは歯茎の構造上重要な役割を果たしている為、不足すると歯茎の状態に影響が出るのです。

●尿石症

膀胱や尿道等に結石が形成される病気です。
モルモットではカルシウムが主成分の結石ができることが多く、血尿や頻尿が見られたり、排尿の際に痛みを感じて鳴いたりします。
モルモットの場合、多く摂取したカルシウムは尿から排泄されます。食事中のカルシウムが多すぎたり、飲水量が少なく尿が濃くなると結石ができる一因となります。
食事のカルシウム量を見直したり、日頃から水分を摂らせる工夫をすることが予防につながります。

●足底皮膚炎

足の裏の皮膚が炎症を起こし、赤く腫れたり潰瘍ができたり、悪化すると骨まで影響することもあります。
痛みが強く、食欲が落ちたり動くことが少なくなったりします。
「足底に負担がかかる状況」が主な原因となり、金網タイプの床、動ける場所の少ない狭いケージ、肥満等が挙げられます。排泄物を踏んで細菌感染を起こす等、不衛生な環境が影響することもあります。
足底への負担を減らすため、床材をクッション性のある素材にする等、環境を整えてあげましょう。

●皮膚糸状菌症

皮膚に感染するカビが原因の病気で、脱毛が見られたり、皮膚がかさぶたのようになりフケが見られたりします。
菌を保有していても発症するとは限りませんが、ビタミンCの欠乏や他の病気、体調不良等で免疫が低下すると発症しやすくなります。主に抗真菌剤の投与等で治療します。
皮膚糸状菌症は「人獣共通感染症(ズーノーシス)」であり、人間にも感染することがあります。

●乳腺腫瘍

モルモットでは、メスよりもオスに乳腺腫瘍の発生が多いのが特徴です。
モルモットの乳首は、足の付け根近くに左右ひとつずつあります。しこりができていないか日頃からチェックしましょう。
腫瘍は良性の場合も悪性(乳腺がん)の場合もあります。治療は基本的に外科手術となります。

【ストレスに弱い……】
モルモットはストレスで体調を崩しやすい動物です。よく見られる症状は食欲不振や軟便、下痢、うっ滞等です。
大きな騒音、振動、温度や湿度の変化、急な食事の変更等、ストレスの原因になるものはたくさんあります。できるだけモルモットに快適に過ごしてもらえるよう環境に配慮してあげましょう。
一方、体調が良くない時に「ストレスのせいかな?」と思い込んでしまうと、他の病気の兆候を見逃してしまうこともあります。気になる不調がある場合は、病院に相談したり早めに受診したりすることも大切です。